生物と無生物のあいだ |
おもしろかった。 内容は、私には難しいですが、文章の組み立てがロジックで綺麗。
余計な修辞がなく、比喩が適切だからでしょうか。一気に読んでしまえる魅力がこの本にはあります。
生物とはなにか?
「生物」と「生物でないもの」とを分け隔てるものとは何なのか?
という根源的な問いに対して生物学者である著者は、生物を 自らを常に変化させつつ微妙なバランスを維持していく「動的平衡」の状態 として捉えています。
「生命とは要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果なのである。」 美しいイメージ。
エピローグには著者の少年時代、東京近郊ですごした思い出が美しく描写されています。
「生物学を学ぶことは、自分自身を知ること」 と語る著者にふさわしいエピローグであると、挿入されるべくして挿入された「少年時代の回想」であると思います。