北山杉・「京都・森と住まい百年の会」の例会報告 |
今日の講師は北山の天然出絞床柱を製造されている中田林業の中田 明氏です。
北山杉の丸太は床柱の他に化粧垂木(たるき)やけた丸太としても製造されています。
いずれも数寄屋と呼ばれるような現在では高級な和風建築に用いられます。
北山杉は、親木の性質を苗木に受け継がせる為に挿し木で育てられます。
挿し木をつくるところから、女性の手によって砂で丁寧に磨きこまれ商品となるまでの過程をビデオで見せて頂きながらのお話しでした。
Source:http://www.tanoshimimura.com/”
参加者の「木材というより、まるで工芸品のよう…。」という感想に同感です。
工芸品を造るように育てられ、扱われています。いわゆる「銘木」といわれる世界です。
ただ、この世界も技術の進歩が、結果として生活を圧迫するようになってしまったことは皮肉なことです。
水圧を使って短時間に杉の皮剥きが出来るようになったこと、乾燥機が普及したことで生産量はあがったけど安いものが大量に出回るようになってしまった。
現在の生活スタイルが必ずしも床の間を必要としないことから消費量は年々減少し、林業として成り立たなくなってきています。深刻な問題です。
中田氏は ・どんなことがあっても継続的に山を育てていく ・床の間を復権させる ・若い大工が丸太を扱える技術を習える場を造っていきたい とおっしゃっていました。
あたらしい丸太の使い道を模索する新しい試みもされています。
京都北山丸太連合会公式ホームページhttp://www.kitayamasugi.com/index.html
住宅に携わる者としての意見を求められましたが、正直、難しいです。
腰板等に加工して使っても北山杉の特徴である滑らかで光沢がある木肌が、かえって使いづらいです。丸みのある材料を扱うことも、それに接する材料を選んでしまうことも難しいです。私だけの感想かもしれませんが。
もっと杉丸太を丸太のまま使う。
杉丸太を和風建築ではなく、現在のスタイルにも通用する住宅に使う。
アントニン・レーモンドの作品に「軽井沢新スタジオ」、「井上房一邸」といった杉丸太をつかったすばらしい建築があります。
こういった建築ができだすと、北山杉のブランドイメージを壊すことなく杉丸太のすばらしさを紹介出来ると思うのですが…。