「潜水服は蝶の夢を見る」 |
たまには一人でゆっくりと考え、物事を見定めていく時間が必要だ。
「潜水服は蝶の夢を見る」
ファッション雑誌「ELLE」の編集長であるジャン=ドミニク・ボビーは、ある日脳出血に襲われ、運動機能を完全に失ってしまう。
唯一動かせたのは左目のまぶたのみで、そのまぶたを使い、言葉を発するかわりに瞬きで意志を表現する。
20万回もの瞬きで綴ったとも言われる自伝小説を映画化したもので、監督は、『夜になるまえに』 『バスキア』 のジュリアン・シュナーベル。
この映画の主題は、「潜水服は蝶の夢を見る」という邦題に全てが象徴されている。自分という人間が内側に閉じ込められてしまったよう - たとえ潜水服に閉じこめられたような身体であっても、蝶のように自由に舞うことを夢見る主人公。家族への想いや未来への希望が失意の彼を支え続けたことが伝わってくる。どのような境遇にあっても闊達さを忘れないのは、さすがファッション誌の編集長だと思った。主人公の生命力が、美しい映像と共に画面からこぼれ落ちそうなほどに溢れていた。
普通でいられるということがどれほど素晴らしいことか。
朝、目を覚ますと彼女が横に寝ているいつもの光景。
どんな嫌なことがあっても、愚痴ひと言わずに付いて来てくれる。
自分もだが、彼女もまた大切にしないといけないと思った。