シネマに見るインテリア 『インフェルノ』 |
壁に掛かっているクバ王国ブショング族のアップリケ布。その作為の無い抽象的な文様は独特な広がりを持ったもので、マチス・クレー・ピカソ・ジャコメッティなどの近代芸術家にも大きな影響を与えたといわれています。このアップリケ布、実は私も数枚コレクションしていますが、この大きさのものを見たのは初めてです。
床のラグはベニワレン。モロッコの原住民族ベルベル人がベニワレンという地域で織った希少性が高いラグです。建築家アルヴァ・アアルトが愛用していました。日本でも松浦弥太郎さんの著書のなかで紹介されて、再評価されたと思います。いずれも決して一般的に広く知られたものではありませんが、「見せて美しい」ものばかり。壁のブラケットとテーブルランプのみで構成された照明も、とても美しいものでした。小物ひとつから彼女のアウトサイダーなところ、知的さを表現するのは美術スタッフの手腕です。インテリアは、住まい手のかけがえのない個性を上手に表現します。