思いをカタチにする

四条寺町を下がったところに「ナインアワーズ(9h)」というカプセルホテルがあったのをご存じだろうか。2009 年 12 月にオープンしたこの革新的なホテルは、残念なことに今年の5月に閉店した。

2016年の年明けだったと思うが、私はその頃、カプセルホテルの計画に携わっていて、そのオーナー様と運営会社代表の油井啓祐氏にお会いし、直接にお話しを伺う機会があった。

案内して頂いたホテル内は白を基調とした近未来的な内装で、清潔感に溢れていた。宿泊フロア、エレベーターが男女別の専用になっているのがプラン上の特徴で、カプセルユニット、サイン、アメニティなどすべてが、ナインアワーズ専用に新しくデザインされたものだった。そのオリジナリティ、クオリティの高さに目を見張った。

「ナインアワーズ」というホテル名は、「シャワー（1時間）」＋「睡眠（7時間）」＋「身支度（1時間）」＝「9h（9時間）」の滞在で、効率的に旅の疲れを癒し睡眠をチャージする「眠りの拠点」というコンセプトから名付けたとお聞きした。また、「ナインアワーズ」は、「汗を洗い流すこと」「眠ること」「身支度すること」、この3つの機能しか提供しない。その代わり、この3つの品質を極限まで高めることを考えているともおっしゃっていた。宿泊客とのトラブル解決も、この3つがすべての判断基準になると言われたのが強く印象に残っている。貴重な体験だった。

すまいにどういう快適さが求められるかを考え、どこまでも考え抜いたものだけを提供していく。思いをカタチにしたいと、改めて思う。

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