照明は大事 |

照明の選択はとても大事だ。例えば花柄のクロスを選んだとしよう。花柄は年中花柄で、その表情を変えてはくれない。しかし、シンプルな白い壁に当てる照明の角度を変えるだけでも、その表情は様々に変化していく。光源を変える、モノの影を落とす、反射さす…、こうなるとその表情は無限に変化していく。動きのない空間が、思いもかけずダイナミックな表情を見せ始める。
建物に意図的な光の効果を与えることは、デザインを考える上でとても効果的だ。
クールで無骨な印象のある石材など素材由来のグレーは、電球色の光で照らすと温かくやわらかな「グレー」と「ベージュ」を組み合わせたような色味に見える。素材に含まれている自然な色が、「グレー」の中でも「イエロー」寄りの色をしているため、暖色系の色に照らされることで際立ってくるのだと思う。
「ヴェンゲ」と「ホワイト」の対比は、モダンな印象を持つ、人気のある組み合わせだ。そこに少し暖色系の照明を当てることで、大人な色の風景が醸し出される。
なんともいえない柔らかな光を放つテーブルランプがあった。よく見ると、シェードが古い真鍮だった。
エコであることが必要とされる世の中で、ダウンライトを中心とした多灯分散型照明方式と言われる新しいスタイルが、今後ますます普及していくだろう。しかし、壁のブラケットとテーブルランプのみで構成された照明も、美しいと思う。
住まい手のかけがえのない個性が演出される。