2022年 07月 28日
「風景のあるすまい」 |
一つ一つは小さくて目立たないけれども、市街地の風景をつくりだしているのは、聞達いなく住宅です。そう捉えればインテリアはともかく、家の姿かたち、庭や樹木や塀といったエクステリアに関しては、その地域や周辺の環境に調和させ、馴染ませる配慮があってしかるべきかと思います。住宅は個人的なものでありながら、かつ公共的な役割をも持ちあわせているのです。わたしたちは、家が長い年月その場にあり続けるものとして、慎ましい佇まいと存在を示すことができたらと思い、つくっています。
一方、インテリアはもっと自由なもの、住まい手が自由な発想でつくるべきものと考えています。たとえば私たちが住まいの風景を見るとき、視線がひとつの枠によって切り取られることがあります。「窓」という枠によって外部と接することができます。ピクチャーウィンドウなんかはその典型的な例でしょう。また、室内を見渡す時、視線は手前から奥へ、暗い所から明るい所へ、床から階段へ、下から上へと導かれます。この「視線の走り」が アイコリドール(eye corridor)です。プラン、コーディネートは、このアイコリドールをイメージしながらすすめると良いと思います。わざと明るい所と暗い所をつくり、人の動きを導く。狭い入口や低い天井から開放感のある部屋に入った時の新鮮な驚き。トップライトやハイサイドライト(壁面の高い位置の窓)は、部屋の奥まで感動的なまでに光を取り込みます。
わたしは 「風景のあるすまい」 という言葉が特に好きです。必要なのは何か、どうすればもっと快適になるかを考え、ご家族で話し合ってください。設計士がもたらさなかった“生活感”や“美しく住むことの歓び”がもたらされると思うのです。
by papa4kid
| 2022-07-28 09:58
| ちょっとまとまった感想等
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