甘い蜜の部屋 |
甘い蜜の部屋 森茉莉著
何人もの方が森茉莉について書いていますが、そんな文章からいつかは読んでみたい、あこがれのような気持ちでいました。
わたしには、どこか現実離れした生活をしてみたい、美しいものの中(物質的なものだけを言っているんじゃないですが)に身を置いて生活をしてみたいと という欲求があって、これが時にはあきらめの良さ、執着心の無いことに繋がって失敗しているみたいですが…。
旧仮名遣いの恐ろしいまでの美文は、人工的な濃密な美意識の世界を魔法のように創りだします。
表面的な贅沢が、贅沢なものとしてとりあげられる今の世の中で、
本当の贅沢とは贅沢な精神を持っていること、をこの本は教えてくれます。
中身の人間が贅沢でないと駄目なこと
装幀は池田満寿夫