2023年 06月 13日
「風景のある住まい」 part2 |
荻野寿也さんという、建築家から依頼が絶えない造園家がおられる。住宅雑誌を見ていて、素敵な造園だなと思うその殆どが荻野寿也さんの仕事だった。2010年の頃だ。それまでは、建築家よりも造園家に注目が集まるようなことは無かったように思う。一体、荻野寿也さんの仕事の何が違うのか。
まず、扱う樹木は幹の細い、風になびくような自然樹形の雑木が多い。いわゆる山採りと言われるもので、今でこそ、その人気から簡単に手に入るようになったが、以前はそれほど注目されてはいなかった。山採りの雑木が、樹木の生長や下草の変化も含めて、ほぼ完成したものとして植え付けられる。
まず、扱う樹木は幹の細い、風になびくような自然樹形の雑木が多い。いわゆる山採りと言われるもので、今でこそ、その人気から簡単に手に入るようになったが、以前はそれほど注目されてはいなかった。山採りの雑木が、樹木の生長や下草の変化も含めて、ほぼ完成したものとして植え付けられる。
これは、建物の完成と同時に撮影される建築写真との兼ね合いがあるからだろう。
植栽は生け花のように瞬間の美として、最初からかなり大きな木も植え付けられる。建物が美しく映る経験則から、そのような配慮がなされるのだと思う。落葉樹を好んで使うのも、落葉樹が季節によってその表情を変えるからで、決してシンメトリーには植えないのも、本来その土地が持っていた風景‐原風景 を再生したいと思われているからだろう。この終始一貫してブレることのない姿勢が、建築家に好まれる。
ガーデニングブームも手伝って庭への関心は高まりつつあるが、「手が掛かる」 「虫が嫌い」など、様々な理由で敬遠されているのが現実である。しかし、庭は建物が素晴らしく生きる、屋内と屋外がどこか繋がっているような開放感が生まれる、建物の価値を上げるもののひとつだ。外界の変化に順応し、体と心のバランスを取り戻す為にも、建物と庭は一体で考えていきたい。
by papa4kid
| 2023-06-13 08:32
| ちょっとまとまった感想等
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