暖かさの演出 |
最近、「白熱灯であれば蛍光灯に変えてみましょう。電気代が驚くほど節約出来ます。」と書かれているのをよく見ます。確かに省エネに努めることは大事なことですし必要なことですが、それでも私は白熱灯の暖かな灯りが好きです。
電気代がかかるのを承知ということは、つい、つけっ放しにしがちな蛍光灯より大事に使う ということでもあるかと思っています。
少女の小さな両手は冷たさのためにもうかじかんでおりました。ああ!たばこの中からマッチを取り出して、壁にこすり付けて、指をあたためれば、それがたった一本のマッチでも、少女は ほっとできるでしょう。少女は一本取り出しました。 ≪シュッ!≫ 何という輝きでしょう。何とよく燃えることでしょう。温かく、輝く炎で、上に手をかざすとまるで蝋燭のようでした。すばらしい光です。小さな少女には、まるで大きな鉄のストーブの前に実際に座っているようでした。そのストーブにはぴかぴかした真鍮の足があり、てっぺんには真鍮の飾りがついていました。その炎は、まわりに祝福を与えるように燃えました。いっぱいの喜びで満たすように、炎はまわりをあたためます。少女は足ものばして、あたたまろうとします。しかし、――ちょっと悲しいお話ですが、暗闇の中でマッチの炎に映し出されたからこそ
Copyright (C) 1999 Hiroshi Yuki (結城 浩)
ぴかぴかしたものがいっそうの輝きを放ち、暗闇との対比に喜びを感じるわけです。
すべてを明るく均一に照らすのでは無く、必要なところだけをやわらかく照らす。
白熱灯は空間に光と影をつくりだし、光源のもつ温度感の高さが「暖かさ」を演出します。